この手順書の設定作業はすべて内山様の iPhone 上で行います。
初回のみ 15〜30 分。設定後は会議 1 回あたり 3 タップ程度で録音→自動議事録化まで回ります。
Mac mini 側の自動処理(文字起こし→議事録→Slack通知)は 2026-07-17 に稼働開始済みです。

iPhone 対面会議録音 手順書(ショートカット構築ガイド)

対面会議で iPhone を机に置き、予定に連動して録音し、SharePoint (Shared Documents/MeetingRecordings/inbox/)へ YYYYMMDD_HHMM_{会議タイトル}.m4a で保存、端末にファイルを残さないための 運用手順。Issue #860。関連: #858(MacBook オンライン会議録音)、

859(Mac mini 文字起こし→議事録→Slack 投稿)。

0. 最初に理解しておくこと(iOS の制約サマリ)

iOS の仕様上、「予定が始まったら勝手に録音が始まり、勝手に SharePoint に 上がる」完全ノータッチは実現できない。本レシピで実現できるのは:

つまり 会議 1 回あたり手動操作は合計 3 タップ程度。それより減らせない 理由と代替案は §6 に列挙した。

1. 前提条件(初回のみ)

  1. iPhone に Microsoft OneDrive アプリをインストールし、組織アカウント (会社の Microsoft 365 アカウント)でサインインする
  2. iOS のカレンダーに会議予定が表示されていること。Outlook 予定を使って いる場合は「設定 > カレンダー > アカウント」で Exchange/Microsoft 365 アカウントを追加し、カレンダーの同期をオンにする(Outlook アプリに 予定が見えていても、iOS 標準カレンダーに出ていなければショートカット からは見えない
  3. ショートカットアプリの設定でプライバシー許可(マイク・カレンダー・ ファイル)を求められたらすべて許可する

2. 準備: SharePoint の inbox を「ファイル」アプリから見えるようにする

ショートカットの「ファイルを保存」は iOS の「ファイル」アプリ経由で保存する。 OneDrive アプリは「ファイル」アプリに自分の OneDrive を公開するが、 SharePoint サイトのライブラリはそのままでは「ファイル」アプリに出てこない。 そこで「OneDrive へのショートカットを追加」機能で、SharePoint 側のフォルダを 自分の OneDrive 直下に見せる。

  1. OneDrive アプリ(またはブラウザで OneDrive/SharePoint)を開く
  2. 対象サイトのドキュメントライブラリから MeetingRecordings/inbox フォルダを開く(フォルダが無ければ先に PC 等で 作成しておく。#859 側と同じパスであること)
  3. フォルダを長押し(Web なら選択)→「OneDrive へのショートカットを追加」 を選ぶ。自分の OneDrive の「ファイル」直下に inbox へのショートカット フォルダが現れる
  4. iPhone の「ファイル」アプリを開き、「ブラウズ > 場所」に OneDrive が表示されているか確認する。無ければ「ブラウズ」右上の「…」→「サイド バーを編集」で OneDrive をオンにする
  5. ファイルアプリで OneDrive > inbox(手順 3 のショートカット)を開けること、 適当なファイルを 1 つ置いて SharePoint 側に反映されることを確認する

3. 録音本体ショートカット「会議録音」を作る

予定連動・手動ワンタップの両方から呼び出す共通部品。

  1. ショートカットアプリ →「ショートカット」タブ → 右上「+」→ 名前を 「会議録音」にする
  2. 「詳細」(ショートカット名タップ → 情報アイコン)で 「共有シートに表示」はオフのまま、「入力を要求」があれば テキスト入力を受け取れるようにしておく(呼び出し元から会議タイトルを渡す)
  3. 以下のアクションをこの順序で追加する:
  4. もし」: ショートカットの入力 に「何も値がない」場合 → 「入力を要求」(テキスト、質問「会議タイトル」、デフォルト 「打ち合わせ」)→ 結果を変数「タイトル」に設定。入力がある場合は 入力をそのまま変数「タイトル」に設定 →「もし文を終了」
  5. テキストを置き換え」: 変数「タイトル」内の / : \- に 置き換える(ファイル名に使えない文字の除去。3 アクション重ねるか、 「正規表現で置き換え」をオンにして [/:\\]- を 1 アクションで)
  6. 日付」(現在の日付)→「日付をフォーマット」: フォーマット「カスタム」、書式 yyyyMMdd_HHmm → 変数「開始時刻」 に設定(録音のに取るので会議開始時刻になる)
  7. (推奨・任意)「Bluetooth を設定」: オフ。AirPods 等を接続した ままだと録音入力がイヤホンマイクに切り替わる恐れがあるため、録音中は Bluetooth を切って本体マイクを確実に使う。Apple Watch の通知等も 切れる点は許容する(不要ならこのアクションは省略し、§7 のイヤホン テストで問題ないことを確認する)
  8. オーディオを録音」: 録音開始「すぐに」、終了「タップしたとき」、 オーディオ品質は「標準」(長時間でのファイルサイズを抑える)
  9. 名前を設定」: 対象は直前の「録音済みオーディオ」、名前は 開始時刻_タイトル(変数を並べる)。拡張子は変更しない (録音出力は m4a)
  10. ファイルを保存」: 「保存先を尋ねる」をオンにする。 実行時に出るピッカーで OneDrive > inbox を選んで保存する (オフにすると保存先は iCloud Drive 系に限定され、OneDrive を 固定指定できない。§6-3 参照)
  11. (手順 4 を入れた場合)「Bluetooth を設定」: オン(元に戻す)
  12. 通知を表示」: 「保存完了: 開始時刻_タイトル
  13. 一度手動実行して、5 秒ほど録音 → 停止 → ピッカーで OneDrive の inbox に保存 → SharePoint 側にファイルが現れることを確認する

削除フローについて: 「オーディオを録音」の出力はショートカット内の 一時データで、ボイスメモにも「ファイル」にも自動保存されない。手順 7 で OneDrive に保存すれば、iPhone 本体には最初から何も残らない(明示的な 削除アクションは不要)。端末にファイルが残るのは §5 の退避フローを使った 場合のみで、その削除手順は §5 に記載する。

4. 予定連動レシピ(オートメーション)

4-1. 制約: カレンダー予定を直接トリガーにできない

iOS のショートカット「オートメーション」には「カレンダーの予定が始まった とき」というトリガーが存在しない(時刻・充電・Wi-Fi・集中モード等のみ)。 そのため「時刻トリガーで定期的にカレンダーを検査する」方式で代替する。

4-2. 判定ショートカット「会議録音チェック」を作る

  1. 新規ショートカット、名前「会議録音チェック
  2. アクションを順に追加:
  3. 日付」(現在の日付)→ 変数「」に設定
  4. カレンダーの予定を検索」: フィルタ「開始日」が「今日」、 並び順「開始日」昇順。仕事用カレンダーが分かれている場合は フィルタ「カレンダー」で限定する(終日イベントや私用予定の誤検知 防止)
  5. 繰り返し」(各項目を繰り返す。対象: 検索結果):
    1. 日付間の時間を取得」: 変数「今」から 繰り返し項目の 「開始日」まで、単位「分」
    2. もし」: 経過分数が -1 以上 かつ 7 以下 (=いま始まった〜7 分以内に始まる予定)
      • 条件を 2 段の「もし」で組む(ショートカットの「もし」は単一条件 のため、「-1 以上」の中に「7 以下」を入れ子にする)
    3. 条件成立時: 「ショートカットを実行」→「会議録音」、入力に 繰り返し項目の「タイトル」を渡す
    4. 「もし文を終了」×2、「繰り返しを終了」
  6. 手動実行し、直近に開始する予定がある状態で「会議録音」が起動することを 確認する

4-3. 時刻オートメーションを登録する

  1. ショートカットアプリ →「オートメーション」タブ →「+」→ 「時刻」を選ぶ
  2. 時刻「9:00」、繰り返し「毎日」(または平日のみ運用なら曜日指定)、 「すぐに実行」(=実行の前に尋ねない)を選ぶ
  3. 実行するショートカットに「会議録音チェック」を指定して保存
  4. 同じ要領で業務時間帯の 30 分刻みぶん登録する(例: 9:00, 9:30, 10:00, … 17:30 の計 18 個)。オートメーションは 1 個につき 1 時刻しか設定 できないため、この登録作業だけは回数が必要(初回のみ)
  5. 動作の想定: 予定が無い時刻はバックグラウンドで静かに終わる。予定がある 時刻は「会議録音」の録音アクションがバックグラウンドでは実行できない ため、iOS が続行を求める通知/バナーを表示する → タップ(+ロック解除)で録音シートが開く → 机に置く - この「通知が出てタップで続行」の正確な挙動(通知の文言・ロック中の 見え方)は iOS バージョン依存のため §7 で必ず実機確認する

5. 派生レシピ: 手動ワンタップ「会議録音(手動)」

予定にない突発の打ち合わせ用。実体は「会議録音」を直接呼ぶだけ。

  1. 「会議録音」はそのまま単体実行できる(入力なし → タイトルを聞かれる → 録音開始)ので、専用の別ショートカットは不要
  2. ワンタップで起動できる場所に置く(いずれか、複数可): - ホーム画面: ショートカット長押し →「共有」→「ホーム画面に追加」 - ロック画面ウィジェット: 設定 > 壁紙 > カスタマイズ → ウィジェット 追加 → ショートカット → 「会議録音」 - アクションボタン(iPhone 15 Pro 以降): 設定 > アクションボタン → ショートカット → 「会議録音」 - 背面タップ: 設定 > アクセシビリティ > タッチ > 背面タップ → ダブルタップ → 「会議録音」
  3. 運用: 打ち合わせが始まったらワンタップ → タイトル入力(デフォルト 「打ち合わせ」のまま OK でも可)→ 机に置く → 終了時に停止 → 保存

圏外・保存失敗時の退避フロー(端末に一時保存 → 後で削除)

会議場所が圏外等で OneDrive への保存が失敗する場合に備える。

  1. 保存ピッカーで OneDrive が開けない/エラーになるときは、代わりに 「このiPhone内 > Shortcuts」フォルダに保存する(ピッカー内で選べる)
  2. 電波復帰後、「ファイル」アプリで該当ファイルを長押し →「移動」→ OneDrive > inbox へ移動する(移動なので元ファイルは残らない)
  3. 移動でなくコピーした場合や残骸が心配な場合は、「このiPhone内 > Shortcuts」を開いて .m4a を削除し、さらに「ブラウズ > 最近削除した 項目」からも削除する(ここまでやって端末から完全消去)
  4. 補足: OneDrive アプリ内の「アップロード」機能を使った場合、送信 キューに乗れば圏外でも復帰後に自動アップロードされる。ピッカー保存が 不安定な環境ではこちらを常用してもよい(ファイルアプリ → 共有 → OneDrive、アップロード先に inbox を指定)

6. できないこと(iOS の制約)と代替運用

捏造を避けるため、「自動化したかったが iOS の仕様上できない」事項を明記する。

# できないこと 理由 代替運用
1 カレンダー予定の開始を直接トリガーにする オートメーションに予定連動トリガーが無い 時刻トリガー(30 分刻み)+「カレンダーの予定を検索」で代替(§4)。会議は 00/30 分開始に揃える
2 ロック中に無操作で録音を自動開始する 「オーディオを録音」はバックグラウンド/ロック中に実行できず、続行操作が必要 予定時刻に出る通知をタップ(1 操作)。それも不可の日は §5 の手動起動
3 OneDrive/SharePoint を保存先として固定し、確認なしで保存する 「ファイルを保存」で保存先を事前指定できるのは iCloud Drive 系のみ。サードパーティ(OneDrive)はピッカー必須 ピッカーは前回の場所を記憶するため実質 1〜2 タップ。完全自動化が必須になったら「iCloud Drive の固定フォルダに自動保存し Mac mini が回収」方式へ変更(#859 側と要調整)
4 予定の終了時刻で録音を自動停止する 録音の終了はタップ操作。バックグラウンドの別ショートカットから停止もできない 会議終了時に停止ボタンをタップする運用
5 録音中の画面ロック・他アプリ操作 ショートカットの録音は Shortcuts が前面にある前提。ロックや切替で中断する恐れ(§7 で要確認) 会議中は「設定 > 画面表示と明るさ > 自動ロック」を「なし」にする(会議後戻す)。iPhone は画面を上にして机に置き、他アプリを触らない
6 電話・Siri 割り込みへの耐性 着信や Siri 起動で録音が中断・破棄される恐れ(§7 で要確認) 会議用の集中モード(おやすみ/仕事)で着信・通知を抑制してから録音する。§3 のレシピ冒頭に「集中モードを設定: オン」を追加してもよい
7 2 時間超などの長時間録音の保証 ショートカットの録音は録了までメモリ上に保持され、長時間の安定性が保証されない §7 で 60 分・120 分を実測。不安定なら長い会議のみ「ボイスメモ」で録音 →共有シートから OneDrive inbox へ手動保存 → ボイスメモ側を削除(最近削除した項目も消す)の代替運用に切り替える
8 半端な開始時刻(例 10:15)の予定の自動検知 時刻トリガーが 30 分刻みのため検査窓(±7 分)から外れる 会議を 00/30 開始に揃える。外れる予定は手動レシピで開始

7. 実機テストチェックリスト

マージ後に CEO の iPhone で実施し、結果(日時・内容・数値)を Issue #860 の 「smoke test 結果」に記載する。1〜4 が通るまで実運用に載せないこと。

基本動作

長時間・割り込み系(イレギュラー)

8. トラブルシューティング

症状 確認ポイント
オートメーションが発火しない 「すぐに実行」になっているか/低電力モード(チェック 11)/時刻登録の漏れ
予定が検知されない iOS 標準カレンダーに予定が出ているか(§1-2)/開始時刻が 00・30 分か(§6-8)/「カレンダーの予定を検索」のカレンダー指定
ピッカーに OneDrive が出ない ファイルアプリの「サイドバーを編集」で OneDrive がオンか/OneDrive アプリに一度サインインし直す
inbox が OneDrive 直下に見えない §2-3 の「OneDrive へのショートカットを追加」をやり直す
SharePoint に反映されない OneDrive アプリを開いて同期を促す/圏外でないか(§5 退避フロー)
ファイル名が崩れる 会議タイトルに / : 等が含まれていないか(§3 手順 2 の置き換え漏れ)