MNML AIエージェント運用マニュアル

合同会社MNML — Gas Town + mnml-agents 統合リファレンス

1. 全体像

MNMLのAIエージェントは2つのシステムで構成されています。 どちらも「AIのチームに仕事を任せる」仕組みですが、入口と得意分野が異なります。

Gas Town(ターミナル)

ターミナル(Claude Code)から直接操作。
コード変更・Git操作・プロジェクト横断の管理に強い。

mnml-agents(Slack)

Slackからメッセージで指示。
経理・請求書・メール整理・スケジュール管理など業務自動化に強い。

どちらも「人間が指示 → AIチームが分担して実行 → 結果を報告」という流れは同じです。 用途に応じて使い分けてください。

2. 登場人物

両システム共通で、AIエージェントには役割があります。

Gas Town の役割

名前役割人間で例えると
あなた最終判断・指示出し社長
Mayor(市長)全体の司令塔。作業を振り分けるプロジェクトマネージャー
Witness(監視役)作業員の進捗を見守る現場監督
Refinery(精製所)完成コードをマージコードレビュー担当
Polecat(作業員)実際にコードを書くプログラマー
Deacon(執事)システムのお掃除・メンテ管理部門

mnml-agents の役割(三線モデル)

名前役割人間で例えると
分類 IF(受付) メッセージを受け取り、どの部門に回すか判断 受付・秘書
管理 VDU(開発部門長) コード変更の設計→実装→テストを管理 開発マネージャー
BA(管理部門長) 経理・法務・月次業務を管理 管理部長
OA(品質監査) 成果物の品質チェック QA担当
SA(システム監査) システム正常性の監視 SRE
実行 Worker(作業員) coder(実装)/ researcher(調査)/ architect(設計)/ tester(テスト)/ reviewer(レビュー)/ tax(税務)/ legal(法務)など 各専門担当
普段意識すること: Gas TownではMayorに、Slackではボットに話しかけるだけ。 内部の振り分けは自動で行われます。

3. 2つのシステム

Gas Town — ターミナルから操作

あなた (ターミナル)
Mayor
Polecat
コード変更
項目内容
入口ターミナル(Claude Code CLI)
得意分野コード変更、Git操作、複数プロジェクト横断管理
データ保存Dolt(バージョン管理DB)
プロジェクト単位Rig(リグ) — プロジェクトごとの作業場
課題管理Bead(ビーズ) — Issue/チケットに相当

mnml-agents — Slackから操作

あなた (Slack)
IF (受付)
Manager
Worker
ツール実行
項目内容
入口Slack メッセージ
得意分野経理自動化、請求書、メール整理、カレンダー、レポート
データ保存ログファイル + MFクラウド + OneDrive
課題管理GitHub Issues(info-mnml/issues)
承認機能Slackボタンで承認/却下

4. Gas Town の使い方

基本概念: Rig(リグ)

Rigはプロジェクトごとの作業場です。使わないときは休眠(docked)状態にしてコストを抑えます。

リグ名プロジェクト
shiftシフト管理アプリ
shift_liffシフト管理 LINE連携
thebotchイベント精算アプリ
mnml_webコーポレートサイト
mnml_ba業務自動化(本リポジトリ)

リグの状態

状態意味APIコスト
running稼働中発生する
parked一時停止なし
docked休眠(デフォルト)なし

基本概念: Bead(ビーズ)

作業の単位です。GitHub IssueやJiraチケットと同じ。

状態意味
open未着手
in_progress作業中
blocked別の作業待ち
deferred後回し
closed完了

使い方のパターン

コードを変更してほしい

Mayorに口頭で伝えるだけでOKです。

あなた: 「shiftアプリにログイン機能を追加して」
Mayor:  課題(bead)を作成 → shiftリグに作業員を配置
Polecat: コードを書く → PRを作る
Refinery: レビュー → マージ
Mayor:  「完了しました」と報告
今の状況を確認したい
gt status          # 全体の状態
gt rig list        # リグ一覧
gt convoy list     # 進行中の作業
bd stats           # 課題の統計
特定の課題を確認したい
bd list --status=open    # 未完了の課題
bd ready                 # すぐ着手できる課題
bd show <課題ID>         # 課題の詳細
終わったらリグを止めたい

「作業が終わったらリグをdockして」とMayorに伝えてください。

5. Slack経由の使い方(mnml-agents)

Slackでボットにメッセージを送るだけです。

キーワードとルーティング

言うこと担当やること
「レビューして」VDU → reviewerコードレビュー
「Issueに起票」VDU → pjmGitHub Issue作成
「デプロイ前確認」VDU → testerデプロイ可否判定
「今週のまとめ」BA週次サマリー生成
「経費を確認」BA経費レポート
「請求書を送って」BAMFクラウド請求書処理
「空いてる時間教えて」BAカレンダー空き確認
キーワードを覚える必要はありません。自然な日本語で指示すれば、IF(受付)が適切な部門に振り分けます。

セッションの仕組み

Slackのスレッド単位で会話が維持されます。同じスレッドで返信すれば、 前の文脈を覚えた状態で応答します(最大24時間)。

6. 作業の流れ

Gas Town: コード変更の場合

指示
Mayor
課題作成 + 振り分け
Polecat
コーディング
Refinery
レビュー + マージ
報告

mnml-agents: 開発作業の場合(3フェーズ制)

VDU(開発部門長)が3つのフェーズに分解して管理します:

フェーズ担当Worker成果物
Phase 1: 設計 architect(設計士) 設計書HTML(Cloudflare Pagesにデプロイ)
Phase 2: 実装 coder(実装者) コード変更 + テスト結果
Phase 3: 検証 reviewer + tester レビュー結果 + テストレポート

各フェーズの間でVDU(管理者)がレビューを挟みます。品質ゲートとして機能します。

mnml-agents: 業務自動化の場合

「経費処理して」
IF → BA
会計ツール
承認要求
✓ 承認
MFクラウド登録

7. 月次業務の自動化

mnml-agentsのBA部門が管理する自動化パイプライン一覧です。

経費処理(Accounting)

Outlookの領収書メールをスキャン → AI分類 → MFクラウドに自動登録

メールスキャン
AI分類
検証
承認
MFクラウド登録
# Slack経由
「今月の経費を処理して」

# CLI直接
python -m accounting.pipeline run --dry-run  # プレビュー
python -m accounting.pipeline run            # 本番実行
請求書処理(Invoice)

MFクラウドの下書き請求書を確定 → PDFを取得

「請求書を確定して」
「今月の請求書PDFをダウンロードして」
稼働報告書(Work Report)

Outlookカレンダーの予定 → Excel月次レポートに変換 → OneDriveに保存

「今月の稼働報告書を作って」
メール整理(Mail Filing)

メールの添付ファイルを自動取得 → OneDriveの適切なフォルダに配布

「メールの添付ファイルを整理して」
「未読メールのダイジェストを出して」
スケジュール管理(Scheduler)

Outlookカレンダーの空き時間検索、会議調整

「来週の空いてる時間を教えて」
「○○さんと30分のミーティングを入れて」
ニュースリマインダー

毎朝、金融・AIニュースをスキャンしてSlackにダイジェスト配信

※ launchdで自動実行。手動操作は不要。

8. 承認が必要な操作

mnml-agentsでは、影響の大きい操作に承認フローがあります。

影響度操作の例承認
重大 メール送信、ファイルアップロード、カレンダー変更、PR マージ CEO承認が必須
中程度 長時間の経費処理パイプライン、本番データへの操作 承認が必要
軽微 設計相談、コードレビュー、スケジュール確認 承認不要
承認リクエストはSlackのボタンで表示されます。10分以内に応答しないとタイムアウトします。

9. コマンド早見表

Gas Town(ターミナル)

コマンド説明
gt status全体の状態
gt rig listリグ一覧と稼働状態
gt polecat list作業員の一覧
gt convoy list進行中の作業グループ
コマンド説明
bd list --status=open未完了の課題一覧
bd ready着手可能な課題
bd show <id>課題の詳細
bd stats統計情報
bd create --title="..."課題を作成
bd close <id>課題を完了
コマンド説明
gt rig undock <名前>リグを起動可能にする
gt rig start <名前>リグの監視役を開始
gt rig dock <名前>リグを休眠させる
gt sling <課題ID> <リグ>作業員に課題を投げる
コマンド説明
gt mail inbox受信トレイを確認
gt mail read <id>メールを読む
gt mail send <宛先> -s "件名" -m "本文"メールを送る
gt nudge <対象> "メッセージ"エージェントに声をかける

mnml-agents(CLI直接実行)

コマンド説明
scripts/status.sh全サービスの稼働確認
scripts/start.sh全サービスを起動
scripts/stop.sh全サービスを停止
scripts/restart.sh全サービスを再起動
python -m accounting.pipeline status経費処理の進捗確認
python -m mail_filing.pipeline digest未読メールダイジェスト

10. 困ったとき

Gas Town: Mayorが文脈を忘れた

ターミナルで gt prime を実行すると、コンテキストが再読み込みされます。

Gas Town: 作業員(Polecat)が止まっている

Mayorに「○○リグのpolecatの状態を見て」と伝えてください。

gt polecat list <リグ名>    # 状態確認
gt polecat nuke <リグ/名前> --force  # 強制終了
Gas Town: データベース(Dolt)がおかしい
gt dolt status    # 状態確認
gt dolt cleanup   # 不要データ削除
~/.dolt-data/ 配下のファイルを直接削除しないでください。データが壊れます。
Slack: ボットが応答しない
scripts/status.sh           # サービス稼働確認
scripts/restart.sh          # 再起動
tail -f logs/agent.log      # ログ確認
Slack: Claude APIのレート制限に引っかかった

5時間のウィンドウでトークン制限があります。アカウントプールが設定されていれば自動でローテーションします。 ログに RateLimitError が出ている場合は、しばらく待つか別アカウントを追加してください。

月次処理: OAuthトークンが切れた

MFクラウドやMicrosoft GraphのOAuthトークンは自動更新されますが、 リフレッシュトークンが失効した場合は再認証が必要です。

python -m accounting.tools.setup_oauth  # MFクラウド再認証